近年、野放図な開発や都市化の波から、貴重な自然や歴史的環境を守るため、人々から寄付を募って土地や建物等の買収や、寄贈、保全契約等を結んで、それを保持、管理、公開するナショナルトラスト活動が広がりつつあります。

私どもはナショナルトラスト活動の一環として、しのつ河畔林(約8.5ヘクタール)を昭和63年より自然保護を基本として整備を進めてきました。
しかし、そのような河畔林も開拓以後の入植者の増加や開墾により、近郊ではほとんど見ることができなくなりました。

しのつ河畔林は、江別市篠津の国道275号沿いの石狩川と篠津川に挟まれた市街地近くに位置する河畔林で、天然林のアカダモ、オニグルミ等の高木約700本に加え、オンコ、桜、山モミジ、ブナ等約3,500本が移植され、樹容の優れた樹林地として、地域の貴重な緑となっています。

さらに、この地域一帯はカモ類やコハクチョウを始めとした160種を超える野鳥の宝庫でもあり、キタキツネ、ウサギ、エゾリス等の野生小動物も多く確認されています。
しかしその反面、土地の有効利用という名のもとに、開発行為が実施される可能性が高いことも事実です。

以上の点を考慮し、さらなるナショナルトラスト活動の普及と人々に自然環境の重要性を理解していただくため、公の財産として「しのつ河畔林」を基本財産とした、公益財団法人「草野河畔林トラスト財団」を設立することになりました。

当財団では、人々はもとより、野生動物に対しても”憩・潤い・やすらぎ”の場として位置付け、自然環境に関する調査研究、自然保護思想の普及啓発等の事業とともに自然環境の適正な保全につくすことを目的とし、将来的には全道の河川沿いの河畔林の復元を進めていきたいと考えています。

  • 夏のしのつ河畔林

    夏のしのつ河畔林

  • 冬のしのつ河畔林

    冬のしのつ河畔林